「ウナギという名前の由来」

Eels Etymology
「〇〇ウナギ」は、ウナギのなかま?

日本語のウナギの語源は、「棟木(むなき)に似ているから」「胸が黄色いから」「ムは身を表し、ナギは長いものを表すヘビ類の総括名称」などいくつもの説があります(小学館・日本国語 大辞典第二版より)。ウナギの属名のAnguillaは、ヘビを表す呼称が語源となっています。そのヘビのような体形、体表の粘液の下に埋もれた小さなウロコ、水から出ても長く生き続けられる驚異的な能力から、昔は魚類とは区別されて、まったく別の生き物と捉えられていたのです。また、その謎の多い繁殖生態から、古代ギリシャの博物学者のアリストテレスでさえ、『動物誌』の中で、ウナギは泥の中から自然発生するという説を唱えていました。

「タウナギ」「デンキウナギ」「ヌタウナギ」「ヤツメウナギ」など細長い体形をして、ウナギと呼ばれている魚は少なくありません。しかし、これらの種類は生物学的にはウナギのなかまですらないのです。一方、生物学的にウナギに近い魚といえば、アナゴやウツボ、ハモのなかま(ウナギ目魚類)で、これらの魚たちも仔魚(しぎょ)期には、ウナギと同様、「レプトセファルス」(透明で平らな柳の葉状の体形をした幼生の名称)になるのです。ちなみに、アナゴ科やウツボ科の魚は英語で「Marine eel(海のウナギ)」と呼ばれるのに対し、ウナギ科の魚は「Freshwater eel(川のウナギ)」と呼ばれています。

ヤツメウナギ類 万太郎沢川 北海道
産卵行動するヤツメウナギ類 カムチャツカ川 ロシア

ヌタウナギとヤツメウナギは、円口類という原始的な脊椎動物。ヤツメウナギのなかまにも、サケと同じような回遊をする種がいますが、母川回帰性はないといわれています。彼らは、サケ科魚類に寄生して血液や体液を吸い取ることがあり、北米ではヤツメウナギ類の寄生がサケ科魚類の資源に多大な被害を与えると問題になっています。

マスノスケに寄生したミツバヤツメ ベーリング海


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