「交雑」

Hybridization
種をこえた交わり

自然界において、異なる種同士で交配し、交雑魚が生まれることがあります。

ヤマメとイワナの交雑魚は自然界でも多く(出現率~1%)、その模様からカワサバと呼ばれています。カワサバもまれにスモルト化(銀毛)して降海型になりますが、性成熟はしません。

ヤマメとイワナの交雑魚 川汲川 北海道
ヤマメとイワナの交雑魚(スモルト)長流川 北海道
アマゴとヤマトイワナの交雑魚(左)、アマゴ(中央)、ヤマトイワナ(右)の当歳魚 富士川 山梨県

北海道の知床半島はオショロコマの聖域ともいえますが、そこに暮らしているオショロコマの多くがアメマスとの交雑魚(外見上はオショロコマだがミトコンドリアDNAがアメマスに置換)であることが確認されています。

ヤマメとオショロコマの交雑魚 真狩川 北海道

外来種と在来種の交雑は、在来種を減らす要因のひとつとされています。これまで、ブラウントラウト×イワナ、カワマス×イワナの交雑が自然界で確認されています。多くの場合、交雑魚は不稔で成熟しないため、次世代の子孫を残せません。しかし、カワマス×イワナや、オショロコマ×アメマスの例のように、交雑魚も繁殖して次世代にわたり遺伝子が浸透する場合があります。

ヨーロッパウナギとアメリカウナギの分布域のちょうど中間付近に位置するアイスランドには、両種の交雑種が生息します。これら2種は系統的に最も近縁な姉妹種で、大西洋のサルガッソ海で自然交配すると考えられています。


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