ヨーロッパからもちこまれたウナギ
Introduced eel
- 1950年代からウナギの養殖が盛んになると、種苗となるシラスウナギが不足し、海外から種苗が輸入された。1969年にヨーロッパウナギのシラスウナギが大量に輸入されたが、導入されたヨーロッパウナギは養鰻業の種苗としてあまり普及しなかった。
- 本来は日本に自然分布しないヨーロッパウナギが日本各地の水系に放たれ、DNAを用いた調査によって、利根川、寒狭川、魚野川、西湖、宍道湖、神西湖、池田湖、三河湾などで、外来魚として確認されている。北海道札幌市の池からも2002年にヨーロッパウナギが捕獲されている。ウナギ科魚類は数十年生きる個体もいる長寿の魚類であるため、一度、自然界の水系に放つと、長期にわたってそこに外来ウナギが住みつく可能性がある。
- 山梨県の西湖では、ヨーロッパウナギが野生絶滅種のクニマスの卵を捕食しているとの報告もある。ヨーロッパウナギも本来の生息地では資源の減少が深刻な絶滅危惧IA類に指定されており、いずれもヒトによってもたらされた現象といえる。
参考文献 References
大浜秀規・加地弘一・青柳敏裕・塚本勝巳. 2020. 西湖におけるクニマス Oncorhynchus kawamuraeの再生産 II. 産卵と阻害要因. 水生動物, AA2020-3
Okamura, A., H. Zhang, N. Mikawa, A. Kotake, Y. Yamada, T. Utoh, N. Horie, S. Tanaka, H. P. Oka and K. Tsukamoto. 2007. Decline in non-native freshwater eels in Japan: ecology and future perspectives. Environ. Biol. Fish., 81: 347–358.
Zhang, H., N. Mikawa, Y. Yamada, N. Horie, A. Okamura, T. Utoh, S. Tanaka and T. Motonobu. 1999. Foreign eel species in the natural waters of Japan detected by polymerase chain reaction of mitochondrial cytochrome b region. Fish. Sci., 65: 684–686.